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World Stage Baseball ホーム > 2015.12.14 | Non 5ツールプレイヤー

Non 5ツールプレイヤー

カナダやアメリカで独立リーグのチームオーナーと話す機会が有る時、毎回決まって同じ質問をしています。
「あなたは何故、このチームのオーナーになったのですか?」

結果、今まで出会った全てのオーナーから共通して以下二点の答えが返って来ました。

  • ① 地元に娯楽を提供し、地元経済を活性化させたいから。
  • ② 多くの選手にチャンスを与え、ステップアップの場を提供したいから。

十人オーナーが居れば、十人ともに細かい球団経営に対するビジョンやプロセスは少しずつ異なるが、この二点は全オーナーが基本理念として強く持っています。言い換えればこの二点こそがアメリカ野球界における独立リーグの存在意義そのものです。

①についてはプロ野球チームを持つことにより、地域の既存の会社や商店とタイアップし商業娯楽としての球団経営を成立させたいと云う思いです。
どの球場のフェンスにも地元のレストランやクリーニング屋、診療所、車の修理工場など地域の個人商店や中小企業の広告がみっちりと貼られています。勿論これらの広告スペースは球団との間で売買されています。
また、スポンサー協力の下、実に様々な催しが連日 行われています。例えば、メキシコ料理レストランがスポンサーになって行う“メキシコ・デイ”では入場者にタコスが無料で振る舞われ、その日限りの民族衣装デザインのユニホームを着て試合を行います。これらの費用は当然、スポンサーであるメキシコ料理レストランが支払います。
この様に球団は地元企業にとって有益な広告コンテンツであり続けなければ存続不可能となり、逆に入場者数が増加し多くの人が注目するチームになれば次から次へとタイアップ希望の申し込みが続出し経営は好循環になって行きます。独立リーグの運営は『認知度が上がり、多くの人に足を運んで貰えるチーム』になれるかどうかに掛かっています。しかし、実際の運営は厳しく、観客数も増加しスポンサーも存分に付くチームにすることは非常に難しく、現実に毎年毎年、新リーグ・新チームが誕生しては消えています。

②の理念は広く選手にチャンスの場を供給し、最終的にMLBまで出世する選手を送り出す事です。彼らはハッキリと「我々のリーグを踏み台にして欲しい」と明言します。
では、そのチャンスを与えられるのはどの様なタイプの選手か?
それはズバリ、6月のドラフトに掛からなかった選手です。

MLBのスカウトがアマチュア選手を判断する時に5ツールプレイヤーであるかを重視します。日本では“三拍子揃った”と表現しますが、アメリカでは更に細かく一、打率  二、長打力  三、走塁  四、肩  五、守備範囲 と分類し選手の見極めを行います。しかし、各チーム40巡目までの大量指名なのでこれらの内、何か一つでも光るものがあれば後はじっくり傘下のマイナーで育てるのが基本方針です。

かなり不躾な表現になりますがMLBのドラフトに掛からず、独立リーグでプロとしてのキャリアをスタートさせる選手の99.9%がNon5ツールプレイヤーです。
しかし、Non5ツールプレイヤーでも己の技量を見せつけ、MLBスカウトに再評価させる事の出来る場が独立リーグなのです。